後半戦
僕はビールを飲みながら
「必殺技ってなんなん?」と聞くと、
嬉しそうな顔で「内緒っす!」と朝と同じような顔で笑っていた。
6レースが始まり案の定僕は外し、秀吉君の顔を見ると、聞かなくても察した。
秀吉君に「必殺技ってなんやってん?」
すると、馬券を見してくれた。
3連複のboxを10頭選んでいた。
14頭中10頭選んで外していたんだ。
まさにこれは、秀吉君の中の必殺技で収支度外視の当てにいく馬券であり、必殺技でもある。
「やり過ぎちゃうか?」と聞くと、秀吉君は
黙っていた。
競馬って難しいなあと思っていたところ
とうとうメインレースの時間になった。
僕も秀吉君も一つも当たらず、メインを迎え
僕は、ここで捲るしかないなと決心していた。
「よし、メインはミッキーアイルに一万単勝でいこ!」と秀吉君に話していた。
秀吉君は、買い目も教えてくれず二人で馬券を購入しに行った。
ファンファーレが鳴りG1独特の雰囲気になっていた。
僕はもドキドキしながらレースに備えた。
不良馬場の中僕は2番人気のミッキーアイルに注目して、その馬だけを見ていた。
どっとスタートし、ミッキーアイルが先頭たち逃げていた。これはミッキーアイルのいつもの勝ちパターンであり、「僕は興奮しそのまま!」と叫んでいた。
コーナーを回り、行けるかと思っていた矢先
ミッキーアイルはどんどん馬群に沈みオワタとと思い、競馬は分からんなと改めて感じていた。
レースは1番人気のジャスタウェイが勝ち2、3着は人気薄か来た。
僕は、ビールを買いに行き
秀吉君にもビールを渡した。
聞くまでもなく秀吉君も外したのは直ぐにわかっていた。
レースが終わり、最終が残っていたが
「飲みに行こか?奢るわ」と言ったが
「帰りたいです。」と秀吉君。
「そうかわかった。」と言って
駅まで歩いて行った。
秀吉君は、一言も喋らない。
電車が来て乗った。
「なんぼ負けたん?」
「なんぼ負けたん?」
しつこく聞くと、ポケットから外れ馬券が出てきた。それを受け取ると、まずその厚さにビックリした。
トランプの束ぐらいあり、1レースからどんどん額が上がりメインは20万位かけていた。
かける言葉も見つからず、そっと外れ馬券を返した。
外れ馬券を残している事にも驚いたがその額にも驚いた。
僕は2万位の負けで済んだので負けているのに
なんか良かった。なんて思考になっていた。
多分、秀吉君は50万位負けたんだと思う。
飯の誘いを断るぐらい落ち込んでいるいたので相当な凹み用なのは分かるが、なんでそこまで賭けたのか分からなかった。
(後に秀吉の気持ちが無茶苦茶わかるのだが)
下北で秀吉君と別れてまだ時間があったので
僕は、最寄り駅の一つ手前で降りた。
そう、パチ屋だ。
適当にキン肉マンのパチンコに座りそれが直ぐ当たって競馬の負けを取り戻し、今日飲んだビール代も勝ったんだ。
帰りしなに、秀吉君にもう一度飲みに誘おうと電話したがとらず、お土産を買って家に帰った。
布団に入り
僕はキン肉マンの動画を見ながら寝た。
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